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櫻の樹の下には事件が埋まっている

桜の花

春です。

お花見の季節です。

満開の桜の花の下、お弁当を広げて宴会というのも日本の春の風物詩という感じがしていいものです。

お花見
お花見

とはいえ、お花見と言えば、大勢でお酒を飲むことが多いせいか、事件が起こりやすいイベントでもあります。

 

掃部山公園(横浜)の半分以上を5日間「場所取り」ネットで非難殺到

 

今回は、公園を舞台にお花見のルールを再確認してみましょう。

 

◆桜の枝を折らない

満開の桜の花を家の中でも愛でてみたいという気持ちはわかります。

けれども、昔から「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあるとおり、剪定の必要がない限り、むやみに枝を切ったり折ったりすることは木の健康のためによくありません(因みに私は不適切な鑑賞方法により却って美しさを損なうという意味だと思っていました)。

そもそも、他人の家の桜の木を無断で切ることはたとえ邪魔な枝であっても許されません(民法233条1項)。

個人の所有物でなくても、公園の桜の木を無断で切ることは皆のためにならない行為として、禁じられています(都市公園法11条2号、横浜市公園条例5条2号)。

 

では、田舎の公園だったらいいのかと聞かれると困りますが、都市公園以外の公園の桜も自己所有物でないことに変わりないのですから、やはりダメでしょう。

 

◆ゴミを捨てない

(都市公園法11条1号、横浜市条例5条3号、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律

たくさんのゴミを持ち帰るのは面倒という気持ちは十分にわかります。

ですが、せっかくきれいな桜を見に来たのにゴミが散乱していたのではお花見を100%満喫したとは言えないでしょう。また、最近は公園からゴミ箱を撤去している自治体も珍しくありません。

ゴミ拾いもイベントになる時代ですからお花見の最後に皆で競って片づければ公園の美化は守れると言えます。

 

立ったりしゃがんだりでものすごく酔いが回りそうですけどね。

 

上記2つはまさに

 

「とっていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ」

 

という有名なキャッチフレーズそのものですね。

 

◆カラオケしない

春の陽気に誘われてハメを外したくなる気持ちは十二分にわかります。

けれども、野外でのカラオケは近隣住民への迷惑になるとして禁止されている公園もあります。

ただ、この辺になると微妙な気もします。

祭礼、盆踊りその他の地域慣習となっている行事に伴う拡声機使用が許されている以上、その他の地域慣習と言えなくもないお花見だけを取り締まるのは難しいかもしれません(東京都拡声機による暴騒音の規制に関する条例、環境確保条例の拡声機に係る基準)。

 

また、お花見とは関係なく結構な大音量で鼻歌を歌っている人なんかはどうなんでしょう。

 

もちろん、酔っ払って暴言を吐いたり暴力をふるったりすれば音量に関係なく逮捕されます(酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律)。

 

◆場所取りしない 

「む、無茶言うな、時間ぴったりに集合して、わずかな隙間に整列し、黙って酒を飲めと言うつもりかっ」とワナワナする気持ちは痛いほどよくわかります。

確かに、どこで何を食べたり飲んだりしようが個人の自由、場所取りだって個人の自由と言えるかもしれません。

ですが、お花見、運動会、防災訓練、盆踊り、もちつき大会など公園を一時的に独占して利用する場合、許可が必要となります。

なぜなら、もともと公園は広く地域の皆で利用するために作られた場所だからです。

ただ、逆に言えば、あの横浜DeNAベイスターズの本拠地である「横浜スタジアム」でさえきちんと手続きを踏めば独占的に借りることができるのです。

 

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こうしてみると、お花見というものは和をもって尊しとなす、譲り合いの精神を育てる実に日本らしい行事と言えますね。

 

もっとも、人が集まらなければ公園として機能しないのも確かで、お花見はジレンマを抱えた年中行事なのです。

 

最後に反省点としては、見頃の週末が明けた今日のブログではあまり意味がないのが心残りです。

 

【参照】

上野公園お花見5つのルール「さくらさく」

 

横浜市環境創造局「公園に関するFAQ」

 

横浜スタジアム球場利用

 

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