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恋愛と耐性

カップルのシルエット
カップルのシルエット

タイトルから今回のテーマにピンと来た方、心当たりの理由にもお気付きですか?


さて、インターネット辞書で引くと

 

 

れん-あい【恋愛】

[名](スル)特定の異性に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、男女が互いにそのような感情をもつこと。「熱烈に―する」「社内―」

 

たい-せい【耐性】

1.環境の変化に対して適応していく生物の能力。
2.病原菌などが一定の薬物に対して示す抵抗力。薬物の反復使用によって薬効が低下する現象。
 

とあります。


一見、無関係のように見えますが、恋愛と耐性、言い換えれば、「好き」と「我慢」は案外近いところにあって、時に区別がつかなくなることがあるのです。

 

(念のため、ここで、耐性とは、恋愛に慣れているという意味での耐性ではありません。)


こんなことを取り上げたのは、つい最近、恋愛について考えさせられる出来事があったからです。

ある日、喫茶店でコーヒーを飲んでいると、隣の若い女性の話し声が聞こえました。


「また彼氏にひどいことをされた」

「友達と会えない」

「家に帰れない」

「でもつい許してしまう」

「私も弱いから」

 

最初は「おや?」と思い、しばらく聞こえないフリをしていましたが、とうとう最後には胸が苦しくなってしまいました。

そこで、私がとった行動は次のうちどれでしょう?


①黙って席を立つ

②とりあえず名刺を渡す

③じっくり話を聞く

 

付き合い始めた頃は「好き」だったのに、いつのまにか「関係を壊したくない」となり、気付いた時には「私が我慢すればうまく行く」と気持ちがすり替わってしまう。

もしも、相手も同様に「関係を壊したくない」と思っていてくれたら「好き」は「好き」のままでいられるでしょうか?

違いますね。

たとえ同じ言葉を思い浮かべていても元々の意味が異なればすれ違うのは当然です。

これは、特別なカップルに限ったことではなく、継続的関係にある誰の間にでも起こりうることでしょう。

 

司法書士がDV相談を受ける場合、保護命令申立書等の裁判所に提出する書類作成という形で答えを出すことがありますが、事の軽重に関わらず何より大事なのは「あなたは悪くない」と伝えることです。

 

結局、私は話を聞いてしまったことを詫びた上で②とりあえず名刺を渡すに留め、相談窓口として司法書士がいることを伝えました。彼女もびっくりしていましたが、納得してくれたようでした。


最後に皆さんに質問です。

「好き」と「我慢」が似ているのと同様に、相手にとっても「好き」によく似た感情があるわけですが、それは何だと思いますか?


アンビュランスチェイサー
アンビュランスチェイサー

【おまけの司法書士】

今回の話は、街角で名刺を渡すことの是非という問題が残りますが、いわゆるアンビュランスチェイサーと異なり、喫茶店に張り付いて呼び込みをしたわけではないことから、倫理上問題はないと思われますがいかがでしょう?(不当誘致、司法書士倫理第13条第1項)


もうひとつ。

最近耳にした冗談に「司法書士は“都合のいい彼女”のようなもの」というのがありました。

司法書士が法律次第で地位を左右される点を彼氏の気まぐれに振り回される彼女の不安定さになぞらえているということです。

喫茶店の話を思い出し、複雑な気持ちになりつつも、あまりにも言い得て妙だったので、蛇足ですが、付け加えさせていただきました。



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