マーケティングの世界で古くから使われている格言に
「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」
というものがあります。
これは、言い換えると
「お客様が欲しいのは商品そのものではなく、問題の解決である」
という意味で、
経営者は顧客の抱える問題を正しく理解し、最適な解決策の
提供を心がけるべきであるという、自営業者にとって
身が引き締まる言葉です。
![ドリルと穴その1](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=png/path/s60f49f26f48eb5cd/image/i23aff611f225a797/version/1377835177/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%81%A8%E7%A9%B4%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%91.png)
もちろん、顧客の抱える問題と言っても千差万別で、
ハッキリした悩みもあれば、モヤモヤした悩みもあります。
特に司法書士のような①相談②依頼③解決という3ステップを
踏む職業の場合は、お客様の本当の悩みをモヤモヤした意識下
から引き上げる役目を負っています。
例えば、「隣人と争って白黒つけたい」という相談を受けた
とします。
ここで、「争って」「白黒つけたい」というキーワードから
「内容証明郵便」「裁判」「強制執行」という答えにパッと
飛び付くのではなく、「先々のことも考えて円満解決を望んで
いるがやり方がわからない」という依頼者の本当の悩みを
引き上げて「仲裁」「調停」「和解」という答えを差し出す、
といった具合です。
![ドリルと穴その2](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=png/path/s60f49f26f48eb5cd/image/i4d94e4ff9a6b03de/version/1377835164/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%81%A8%E7%A9%B4%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%92.png)
念のため補足すると、お客様側で「何月何日に不動産取引が
あるので決済に立ち会ってほしい」というように依頼内容が
既に固まっている場合、依頼者の本当の悩みというのは決済の
立会いそのものなので、
わざわざ「本当はどうされたいのですか?」ということを
聞く必要はありません。
当事務所も開業して4か月が経とうとしていますが、
ともすればドリルに傾きがちな自分に気づきます。
無料法律相談会で、初めて会った相談者の方とお話ししていると、単純そうに見えて複雑だったり、複雑そうに見えて単純だったり、こちらの用意した答えがぴったりその方の「穴」にはまっているかどうかがいつも悩みどころです。
最後にお知らせです。
今月いっぱいは「司法書士月間」として、ユーキくんの背景でしたが、来月からは通常の三つ葉のクローバーの背景に戻ります。
ユーキくん、また来年もよろしくね。
【参照】
インターネットコム